2015年4月29日水曜日

ロードスター と ステップワゴン と レヴォーグ それぞれの排気量低減について

  クルマ雑誌を見ていると、「スペック以上のパワーを感じる」みたいな表現がよく出てきます。メーカーがあってこその自動車評論家ですから、この一言を入れることで、とりあえずのごますりで「買っても困る事は無いですよ!」の太鼓判みたいな意味合いがあるようです。いまではゴルフ、プジョー308、トヨタオーリスが1.2Lターボになり、Cクラス、ボルボS60が1.6Lターボになり、この「前置き」無しにはレビューが成立しなくなっている様子です。しかしまあそんなこと書かれても実際の印象はだいぶ違いますし、やはりスペックは嘘付かないですね。多かれ少なかれ輸入車に対して非常に優しい日本の「おもてなし」カーメディアのリップサービスというのが実際のところでしょうが、ホンダ・ステップワゴンも1.5Lターボになって同じような扱いをして貰えるのでしょうか?

  ホンダの開発者はステップワゴンに関するインタビューの中で開口一番に「日本のユーザーには排気量に対する信頼感が根強い」と言っていました。「ヒエラルキー」とか表現してましたが、要するに「カースト」であり「蔑視」です。これまで散々に中流日本人の所有欲を掻き立てるようなゴテゴテしたクルマを作ってきた挙げ句に「ヒエラルキー」とかメーカーの人が言っているのもちょっと滑稽な話です。特にホンダは軽自動車に「高級」という概念を持ち込んだ前科があるわけですから、完全に「ブーメラン」です(60万円の真面目に作った軽自動車を発売してから言うべきだ!)。

  さてホンダの話はこの辺にして、「低排気量でも走りがいい!」なんてそりゃあバブル崩壊後の混乱を乗り越えてきた、どれも尊敬に値するメーカーが製品化に踏み切っているんだから、当たり前かな?という気がします。ちょっと前までは確かにレクサス辺りからパワーウエイトレシオが厳しい「失敗作」モデルもあったようですが(2.5Lでリトラクタブルハードトップの車体を引っ張るアレです)、いまでは軽自動車であってもそんなことはほとんどなくなりました。1.5Lで引っ張るにはやたらと重そうなSUVに乗ったとしても全然大丈夫です。「じゃあなんで1.5Lを選ばないのか?」というと、動力性能が必要十分かどうかではなくて別の尺度があれこれとあるからです。

  現在のところ、BMWのものを除いてほとんどのメーカーが採用する1.5Lエンジンは「4気筒」のままダウンサイジングが行われています。2L直4から1.5L直4に変わったところで、エンジン重量の大幅な軽減はできませんし、むしろ1気筒当たり500ccの理想的状態から、400cc以下に変わることで燃焼効率が落ち、トルクが出しにくくなる傾向が顕著です。そこでシリンダーを工夫してロングストローク化によって必要トルクを得ようとしますが、結果的というか物理的にというか、ロングではやはり高回転までスムーズに回らない「つまらないエンジン」になってしまいます。そして何より残念なのが「4気筒」のままでは大して燃費はよくならないということです(これは誰得なんだ?)。そして使われる部品も小型車向けの汎用の外注品ばかりになりエンジンという重要部分の信頼性が著しく低下します。最近の日本メーカーは駆動系のリコールでも平気で出すようになりましたが、そのほとんどが外注部品に起因するトラブルなんだとか・・・。

  クルマの設計などしたことが無いですから、偉そうなことは言えないですけど、そもそも既存のシャシーをそのまま使っているのに、エンジンだけをダウンサイジングして「何も問題ない!」と考える方が無理なんじゃないかと思います。つまり排気量を下げたいのであれば、シャシーからボディから全部一新してトータルで考えないといいクルマにはならないんじゃないの?ってことです。例えばスバルの手法を見ると、レガシィ・ツーリングワゴンの後継として「レヴォーグ」を新たに1.6Lのボクサーターボをメインエンジンに据えて開発されましたが、ここで1.6Lエンジンの実績がないレガシィのシャシーを諦め、1.6L自然吸気を既に積んでいるインプレッサのシャシーを使いました。一部の人々は「コストダウンだ!」と反発しているようですが、クルマをトータルで見た時に、インプレッサベースだからこその「1530kg」に収められた車重と考えても良さそうです。実際のところ1.6Lターボを旧式マツダアテンザのシャシーに載せた「ボルボV60T4」はFF(AWDよりも軽くできる)にも関わらず1560kgになっています(サイズはどちらもほぼ同じ!)。

  同じようにシャシーを一新してクルマのトータルの重量を抑えた上で、排気量を大きく下げたのがマツダ・ロードスターなんですけども、こちらもまた「ピュアスポーツ」&「世界に轟く名門」ということで、バッサリと行われた「1.5L」化に対してますます賛否両論が燻っているようです。とりあえず既にプロトに乗せてもらっているカーメディアの提灯記事によると、ダイハツコペン(870kg)にあと120kgまで迫る990kgに減量されたボディに低速トルク十分のスカイアクティブGの特性で、なかなかの出足の良さにつながっている!みたいな好評価が全般的な印象のようです。しかしプロトタイプから、量産モデル試乗車になって、あれこれと重箱の隅をつつき出す評論家もチラホラ現れました・・・。1.5Lになって自分自身の「意中」から外れたようで、未だに「2Lも出せ〜」とガキみたいに連呼する還暦ライターを何人も見つけました。そんなド素人でも言えるコメントを残すくらいなら、欧州で実績抜群のマツダが手掛ける「ダウンサイジングの理念」について考えを巡らしたらどうでしょうか? ゴルフやプジョー308はアホの一つ覚えのように絶賛するくせに・・・。

  中にはいろいろと知恵の働く評論家もおりまして、1.5Lになったマツダのロードスターをわざわざ首都高に持っていって、後方から疾走してくる大型トラックの前でスリル満点に6速AT車でちょっとだけシフトダウンしてからの加速のチェックをやってやった!と豪語しております。トラックからは「チョロチョロするな!」と警告ホーンが鳴り響き〜・・・なんて楽しそうに書いてやがります(笑)。どうも排気量が低過ぎて、ミッションではカバーできておらず、しかも6速ATの5速・6速がハイギアード過ぎて全然加速しないのでダメダメ(ATは失格!)いうのが結論みたいです。そして「ATにはターボと付けろ!」とロードスターの根幹を揺るがすような強烈な一言を発しています・・・。

  このライターはいつもいつもマツダファンに対してたっぷりと「燃料」を投下していきますね。この方の手にかかれば、アテンザ「外見はジャガーで中身はゴルフ」、デミオ「背伸びしすぎで全く使えない」というようにガッツリと本質をエグられます。茶番と化しているRJCを獲ったアテンザと日本COTYのデミオってことで、この「ガチ」ライターに徹底的に嫌われている可能性もありますけど・・・・。マツダはアクセラやCX5みたいな無難な中型の実用車を作っていればいいのだ!トヨタや日産あるいはスズキの商売を邪魔してはいかん!っていう風にも読み取れます。

  なんか口惜しいのでここで静かに反論しておきたいですが、つーかロードスターで高速道路走っちゃだめでしょ。以前に小田原厚木道路で日中に事故ったロードスターを見かけましたけど、可哀相なことに事故渋滞でイライラする人々の視線を遮るもの(ルーフ)もなく、夫婦そろって無表情・放心状態のままフロントシートに佇んでいました(無事でなによりですが)。温泉旅行の帰り?にこんな仕打ちはあまりにも残念すぎます。こんなにハッピーなオープンスポーツで伊豆・箱根から帰るならば、私なら西湘バイパスをロマンチックに走りたいですね。

  しかしロードスターの車重でも5速(6MT)じゃ加速しないよ!っていうのはなかなか画期的なテスト結果だと思います。たしかにそうなんですよ、2L以上のクルマにこだわる人ってのは、経験的に1.5L車が高速道路で非常に肩身の狭い思いをすることがわかっています。気疲れなのか騒音の大小によるものなのか、長距離走ったときに疲労感が全然違います。去年にBMWミニがモデルチェンジして、BMWの2Lターボを横置きに積んだ「クーパーS」が登場したときは、いよいよ高速に乗れるミニになったかな?と思ったんですけど、輸入車の2Lエンジンってハッキリ言って騒音がゲロゲロなレベルです。ジャガーとかロータスとかイギリスブランドは日本のエンジンを使ってくれるので、輸入車という括りはあれですけど、ハッキリ言ってBMWとメルセデスが最悪!ドイツ車ならアウディが最も高速での負荷が少ないですね・・・。


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2015年4月13日月曜日

ランエボX・ファイナルは・・・コスパ抜群?

  とうとう三菱からランエボの最終のご案内が行われました。ランエボが現在のステータスを勝ち取った舞台となったWRCも、今ではヴィッツ・クラスのフィールドになってしまいました。かつての絶対王者とはいえ、その存在も年を追うごとに風化してしまうことが、このクルマにとってはとても辛かったようです。現在では完全に支持基盤を失ってしまい「宙ぶらりん」な状態でして、それでも日本国内でも細々と販売が続けられましたが、先細る販売台数とともに当然に車両価格も上昇しますし、現行の価格ではなかなか新車で「ランエボでも買ってみるか?」という気分にはなりにくくなってしまいました。乗り出しで300万円くらいに抑えてあればまだまだ期待出来そうなんですけど。

  それに加えてランエボの息の根を完全に止めたのが、2007年にランエボXと同じタイミングで登場した日産GT-Rだったと思います。ランエボのものと比べても全く引けをとらない最速の駆動システムを持ち、パワートレーンも日本車の常識を超えたスーパーカー仕様になっていて、これまで「スーパーカー」にも勝てると吹聴されていたランエボを突き放すほどの、「280ps」を大きく振り切ったAWDのスーパースポーツが「777万円」で登場してしまったのは本当に痛かったですね・・・。日産と三菱の駆動システムはそれぞれに一長一短あって甲乙付け難いですが、ベース車(スカイラインとギャランフォルティス)の設計の本気度と搭載されているパワートレーンが全然違うことが、致命的な差を生んでしまいました。

  もうGT-Rが出ちゃったのだから、「最速」へのこだわりなどは捨てて「お手軽&ハイパフォーマンス」といった日本車らしい方向性を模索すれば良かったのですけど、これもなかなか難しい部分があったようです。現在では急速にターボ技術を持つようになった欧州メーカー車が、今ではスポーツモデルと称して、次々と日本に上陸を果たしています。しかも三菱にとってはメルセデス以外の全ての欧州メーカーが大切なターボチャージャーの「納品先」ですから、安易にビジネスパートナーの商売の邪魔をするわけにもいかないわけです。そもそもゴルフGTIとどっこいどっこいの性能しかないランエボなんて・・・まったく魅力ないですよね(あんなオモチャと一緒にすんな!とお怒りのエボファンも多いでしょうけど)。

  ということで「前」も「後ろ」も塞がれて行き場を失ったランエボですから、残念ながらモデル廃止も止むなしという判断みたいです。エボと入れ替わる形で日本のスポーツカーファンを上手く捕まえているのが「トヨタ86」でしょうか。本体価格を250万円〜という設定は絶妙で、プリウスという選択もなんだか安易だから「ひとつ86でも買ってみようかな?」と一般のサラリーマンの気持ちを上手く揺さぶっています。乗り出しで300万円という設定はなかなか「マジカルなナンバー」のようで、富裕層の検討する2台目(趣味のクルマ)としても最も捗る価格帯のようです。どこぞのブログ主さんはF10の5シリーズの二台目にマツダCX3を購入したようで、その性能と価格になかなかご満悦なようでした。しかしランエボXの今回のファイナルモデルは乗り出しでおよそ500万円!う〜ん手が出しにくい(と想像されます)。

  けれどもこのエボは「ファイナル」ですから!もちろんあれこれと想像を膨らませることができます!初年度で3万台近く売ったという「86」に比べて、1000台限定の「ファイナル」の中古車価格はおそらく、新車購入時の初期費用こそ86よりも200万円ほど高かったものの、3年3万キロ乗って手放す時にはそれ以上のプレミアが付いている可能性が高いです。86だと恐らく乗り出し300万円だとして3年3万キロで120万円付くかどうかくらいだと思います。しかしエボ「ファイナル」は乗り出し500万円で3年3万キロでも320万円以上は余裕で付くんじゃないでしょうか?いや400万円に迫る勢いかもしれません?(もちろん金額を保証するわけではありません!悪しからず)

  もちろん86に乗りたい人は86で、エボに乗りたい人はエボで!という選択が一番なのは言うまでもないですが、果たしてどっちがより楽しめるのでしょうか? デザインは86の方が素直にかっこいいかもしれません。デートをするなら?乗り込み易さが結構大事で、これに関しては圧倒的にエボがいいです!実は86はデート車としていろいろ欠陥があります(助手席の女性には不満みたいです)。実際に聞いたところでは、なんかゲームセンターの乗り物に乗っているような乗車ポジションは不自由だとか・・・。一方で動力性能に関しては特にエボより非力な86で不満を感じるような道はないですけど、ちょっとパワー出るBMWに煽られたりしたときに、エボの方が余裕で引導を渡せるかもしれません。まあエボに絡んでくるBMWなんてまずいないでしょうけど。逆に86は結構絡まれますね・・・というか絡まれている86をしばしば見かけます。独特のおケツがやたらとブレるセッティングなので、首都高や中央道などのタイトな高速道路で余裕が無くなるのはちょっと困るかもしれません。

  逆にいろいろなクルマに絡まれたい!という淋しがり屋には「86」という選択がいいかもしれませんし、そういう人にはエボのように周囲から徹底的にスルーされる存在はツマラナイでしょう。実際、高速でも峠道でもエボが後ろから来たらとりあえず避けますよね・・・。あとはスポーツカーとして重要な要素が「ハンドリング」だと思いますが、これに関してはどちらも「?」なところがあります。一般論としてはFRの86の方が有利と考えられていますが、あの切れ始めの鈍さから一気に鋭くなって「クルン」と回る86のハンドリングには賛否両論があります。FRってもっと素直でニュートラルなモノでは? 誰かがスポーツカーはバットやラケットといった「専門的な道具」と言ってましたが、たしかに「86」のハンドリングはスポーツ走行するためのプロ仕様ではありますけど・・・。

  ランエボに関してはハンドリングの切れ味よりも、コーナーからの強烈な脱出速度が何よりも特徴です。トラクションはもちろんですが、旋回時に感じるフラットなフィールが重要で、「ロール」と「ピッチ」を抑え込む足回りとボディの剛性・・・ここまでは「86」も同じような美点を持っていますが、さらに「ヨー」方向の抑え込み能力の高さこそがエボの最大の特徴かもしれません。もちろんタイヤのグリップ力に大きく助けられている部分でもありますけど。ルノー・メガーヌやゴルフGTIといったFFのスポーツモデルでは、コーナーでちょっとハードにブレーキングしただけで、「おつり」を貰ってヒヤっとしてしまうので、ややナイーブになりがちなんですよね。おそらくこれらのクルマをどのように処理しようともランエボのレベルのコントロール性に到達するのは無理なのではないかという気がします。ゆえにエボが廃止されるのは勿体ないと思ってしまします。
あれこれ書いていたら・・・思わずエボが欲しくなっちゃいました。

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